2016年3月まで発刊をしていた人気季刊誌『銀座十字屋タイムス(旧・銀座十字屋通信)』で人気のあった連載「ハープ解体新書」をお届けいたします。
ハープ解体新書Vol.6
「モーツァルトの作品に、ハープ・フルートの曲が少ないのはなぜだ!」
今回はみなさまに最も人気のある作曲家のひとり、モーツァルトから。
モーツァルトは、わずかな生涯にも関わらず、ピアノ曲から弦楽合奏曲、オーケストラ曲、歌劇曲、その他にもおびただしい数の作品を残しています。器楽曲で申し上げますと、クラリネット、バイオリン、ピアノ、ホルン・・・など、かなりの数になるのは、みなさまもご存知のとおりでしょう。
その中で、私ども「ハープ&フルートサロン」に最も関係のある楽器、フルート、そしてハープはどうなのでしょう。
まずは「フルート」から。
モーツァルトが作曲したフルートのための作品は、コンチェルト(協奏曲)が、K.313、314、315.以上の3曲。室内楽曲は、K.285シリーズの4曲ございます。
では、ハープは私の知っている限りでは K.299の有名なフルートとハープのためのコンチェルト、この1曲だけです。モーツァルトは何百曲もの名曲を残しているのに、フルートは、フルートとハープのためのコンチェルトを入れて全8曲。ハープに至ってはたったの1曲(絶句!)なぜ、もっとたくさん作ってくれなかったのでしょう?
その理由について、フルートは、「当時、名演奏家といわれる人がたまたま存在しなかったから」(本当かな?)、「モーツァルトはフルートが嫌いだったから」など無責任な説がいくつかございます。(二つ目の説なんか、冗談にしても洒落ていて好きなのですが・・・)
一方、ハープの場合は理由がハッキリしています。「その時代によい楽器がなかったから・・・」これに尽きます。現代を生きているみなさまは本当に幸せなのですよ。しかも、素晴らしいたくさんのプレイヤーの演奏を聴くことができますし・・・。
でも、モーツァルトは、もういないのですよね。
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