今年も10月にもなったのに、真夏のような暑さの日やまさに秋と言いたげな過ごしやすい日があったりと、気候の変化が激しい日々が続いていますが、皆様体調を崩されていないでしょうか。
10月19日に行われましたランチタイムコンサートは、泉 遥香さんによるハープ演奏でした。泉さんはランチタイムコンサートには今年2回目の登場です。
1,2曲目ともに、「ロシア近代音楽の父」と言われた作曲家M.グリンカの曲「モーツァルトの主題による変奏曲」「ノクターン」を演奏して下さいました。
「モーツァルトの主題による変奏曲」はモーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」のシンプルな主題(テーマ)がまずは提示され、その後、その主題を元に変奏が繰り返されます。流れるような旋律や、リズミカルな旋律、ハープ特有の分散和音(アルペジオ)や倍音奏法(ハーモニクス)を多用したものまで。同じ主題が各変奏ごとでこんなにも変化するのだということがよく分かります。泉さんは、各変奏においてその主となるテーマの変容が分かるように大切に丁寧に表現されていました。
次の「ノクターン」は、流れるような美しい曲です。「ノクターン」は日本語に訳すと「夜想曲」です。グリンカは、ピアノにも哀愁たっぷりな「ノクターン 別れ」を残していますが、ハープのためのノクターンは、夜空の美しさを讃えたかのような、ただただ美しい一曲です。
愛の喜びを歌うかのようなメロディの雰囲気を大事に大事に演奏をされた泉さんが印象的でした。
3曲目はモルタリの「ソナチネ」です。先程のグリンカの2曲とこの作品は、11月に埼玉・草加で開催される日本ハープコンクールの課題曲となっており、今月のランチタイムコンサートではよく聴かれるプログラムの一つです。イタリアの近年の作曲家モルタリによるこの作品は、3楽章構成となっており、華やかな1楽章「gagliarda」、物静かだがなにか不穏な2楽章「Canzone」、細かい音符が並ぶ3楽章「Toccata」、それぞれ雰囲気が全く違います。気合の入った泉さんの演奏にたくさんの拍手が贈られました。
泉さんがプログラムの最後に用意して下さったのが、M.グランジャニーの「こどもの時間」です。一般的には知名度が高くはない作曲家グランジャニーは、著名なハーピストであり、ハープのための作品を多く残した人物です。
この作品は、全部で6つの小曲からなっています。題名通りにこどもが歌って、踊っているかのような楽しい雰囲気の曲でした。この曲の前に演奏したモルタリ「ソナチネ」が内容・技術ともに難解な曲であったせいか、泉さんはこの曲1曲1曲を楽しそうに弾いていらっしゃるのが印象的でした。
音楽を通して泉さんのハープにひたむきに取り組んでいる様子やハープへの愛情が伝わってくる、とても素敵な演奏でした。
来週もランチタイムコンサート開催いたします。芸術の秋、ハープの音色に癒されてみてはいかがでしょう。皆様のお越しをお待ちしております。
Program
モーツアルトの主題による変奏曲 / M.グリンカ
ノクターン / M.グリンカ
ソナチネ / V.モルタリ
こどもの時間 / M.グランジャニー
泉 遥香
北海道立旭川凌雲高等学校出身、尚美ミュージックカレッジ専門学校3年 ハープを専攻している。
第16回大阪国際音楽コンクールのハープ部門で入選。
ハープは高校1年から習い始め、現在は田中淳子氏に師事している。